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イケ☆パラ第1話〜副理事長室〜





聖・霊廷学園二階―




副理事長・朽木白哉は、副理事長室で義妹のルキアと向き合っていた。
「決意は変わらぬか」
「はい」
すぐに返された言葉に、白哉はそっと溜め息をついた。
義妹の真っ直ぐさ、というよりもこの場合は頑固さを、白哉はよく知っている。




今から半年前、ルキアが中学3年の夏のことだ。
イギリス留学から戻ってきたルキアは、日本の高校が4月スタートであることをすっかり忘れていた。受験は半年後に控えている。早々に、志望校を探さなければならなかった。
そんな折、志望校を懸命に探すルキアに、白哉はうっかり言ってしまったのだ。
「朽木家の者は代々、聖・霊廷学園に入ることになっているが―」
いや、白哉が悪いわけではない。誰も、ルキアが聖・霊廷学園に入ると言い出すとは思いもよらないだろう。
聖・霊廷学園は、男子校なのだ。


けれど義妹として、少しでも朽木家に馴染みたいと思っているルキアは、
「兄様、私も兄様と同じ学園で学ばせて下さい!」
と言って引かなかった。
白哉はもちろん、侍従やら引退した祖父やらが説得してみたが、ルキアの意志は変わらなかった。
そして今日に至る。




ルキアは、学園の制服である黒のブレザーに身を包んでいた。真新しい真紅のネクタイは、白哉が今朝、結び方を教えてやった物だ。
入学式の時間が迫っていた。
当然のことだが、どう考えても気が進まない白哉は、ルキアに最終的な意志確認をしてみたのだ。
そして当然のように、ルキアは入学すると言う。




では、入学式が終ったら寄り道をせず屋敷に戻るように―
と言いかけて、白哉ははっと気づいた。




聖・霊廷学園は、全寮制なのである。










どこまで続くか分かりませんが、どうぞ楽しんでやって下さい…

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