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征服





「白哉兄様、先日ご覧になりたいとおっしゃっていた、現世の装束“せいふく”が入手できましたので、着て参りました」
「うむ入れ」
「失礼致します」
「よく来…がはっ」
「兄様!鼻から血が!」
「うむ問題ない。それが現世の服装…かように足や手を曝け出すのか。なんと破廉恥、いや活動的な」
「そうです兄様、この服装はとても動きやすいのです」
「そうか、ならば見せてみよ」
「はい、舞え、袖白雪!」
「ぐはっ」
「に、兄様!鼻から大量の出血が!」
「問題ない、気にするな。ところでルキア」
「はい」
「再び現世に行くとなれば、その姿でまた虚どもと相対することもあるだろう。来るべき戦闘に備え少しでも慣れるよう、現世行きまでの間、この屋敷内ではその服装で過ごすように」
「さすがは兄様、そこまで考え及びませんでした!ありがとうございます、兄様!」
「うむ。時にルキア、ちょっとその服装のまま私の膝の上へ」
「いえ兄様さすがにそれは」
残念。


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「っ!!!!!」
「どうした恋次、顔が髪の毛と同じ色になっているぞ」
「ななななななんて格好してやがんだてめぇ!足が!足が!」
「何を言うのだ、これが現世の服装、“せいふく”というものだ」
「現世じゃずっとその格好だったのかよ!?」
「そうだ、みなこの格好だったぞ」
「くっそマジかよ、一護のヤロウ、何もしなかっただろうな」
「どうした、一護がどうかしたのか」
「あーもう何でもねーよ」
「で、どうだ?似合うか?」
「そそそそそうだな、うん、まぁ、あれだ、ににににににに似合ってんじゃねーの」
「そう言いながら、貴様ちっともこっちを見ておらんではないか」
「見れるかよ!あーもー、てめぇはさっさと帰れ!」
「なっなんだその言い方は!せっかく見せてやろうと来てやったのだぞ!もうよい!これから檜佐木殿に見てもらうのだ」
「なっ先輩に!?やめろルキア、危ねぇって!」
「何が危ないのだ、檜佐木殿はいつも優しく声をかけて下さるのだぞ」
「それが危ねーんだよ!」
君は安全すぎる。


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「檜佐木殿…」
「おう、どうした。なんで柱に隠れてんだよ」
「現世の服装が出来たので見ていただこうと思ったのですが…」
「おう、見せてくれよ」
「それが…」
「なんだどうした、出て来いよ」
「はい、では…」
「っ!!!!!」
「せっかく見せたのですが、なぜか兄様も恋次も何も言ってくれなくて」
(そりゃそうだろうよ、何だよその足の露出!あれか新手の斬魄刀か!)
「いや、まぁ、なんつーかさ。あんまりにも似合ってて、何も言えなかったんだろうよ」
「そう言っていただいてほっとしました。よくないことをしてしまったのではと、心配しておりました」
(いや最高に心臓によくないぞ)
「しっかしえらく裾が短いんだな」
「えぇ、虚退治の際は少し不便ではあるのですけど」
「まぁ、俺は助かるけどな」
「?助かる?」
「脱がせる手間が省ける」
にやり。


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「っ!!!!!」
「…はぁ。阿近、貴様もか。みんなどうして何も言ってはくれないのだ。まぁよい、邪魔するぞ」
「!!!!!」
「何か言わぬか、この引きこもり。世から離れるあまり言葉もなくしたか」
「な…」
「な?」
「なんだこの服装は」
「現世の“せいふく”というものだ。貴様なら知っておろう」
「知ってるが…あぁぁ」
「ちょっ!ちょっと待て、なぜ落ち込むのだ」
「人の心を惑わす故と、秘して隠されていたものが白日の下に曝け出される。これを拷問といわずして何と言う」
「…全く分からぬぞ」
「いいから早く他の服を着ろ、その格好は毒だ、俺を滅ぼす」
「なぜだ、なぜ貴様を滅ぼすのだ」
「いいから俺の白衣を着ておけ、代わりの死覇装は後から持って来させる」
「やめろ触るな、私はこの服装が気に入っておるのだ」
「お前の好みなど関係ない、世間には害悪だ」
「貴様っ!白衣など着ぬぞ!ええいよさぬか!」
と、ルキアが足を振り上げた瞬間。
阿近の視線はその美しい足の線をくるぶしから上の方へとなぞってゆき、たどり着いたのは…
「@△×¥:#■$!!!!!!!」

「?」
「…うきゃ」
「う…?阿近?」
「うきゃきょ!」
「おいどうしたのだ、阿近!」
「きょきょきょきょきょきょ!」
壊れた。



あの生足は凶器だと思うのですよ。(力説)

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